乳がん患者が増えている?乳がんについての解説や治療方法について

乳がんは女性のがんの中で一番罹患率が多いがんで、患者の数は増加の一途をたどっています。他のがんと比べて30代からの若い世代でも発症しやすく、残念ながら死亡数も増えています。

一方でステージが低い状態での5年相対生存率は比較的高く(死亡率が低い)、早期発見が非常に有効な打ち手となります。
今回は乳がんについての特徴や治療内容について記載します。がんや治療法についての知識を持つことで、むやみに恐れず正しい判断ができるための一助となればと思います。

参考まで、乳がんのステージ別
5年相対生存率は下記の通りです

 ・ステージⅠ:100%

 ・ステージⅡ:96%

 ・ステージⅢ:81%

 ・ステージⅣ:39%

乳がんの罹患者数、死亡率について

日本における乳がんの患者数(罹患数)は、年々増加傾向にあります。​最新のデータによると、2020年に新たに診断された乳がんの症例数は92,153例(女性91,531例、男性622例)でした。

国立がん研究センターの「がんの統計 2024」によれば、1980年から2019年にかけて、乳がんの罹患数は一貫して増加しています。これは、高齢化や生活習慣の変化に加え、検診受診率の向上で早期発見が増加していることも理由になっています。​

また、残念ながら乳がんで亡くなる方も近年増加傾向にあります。最新のデータによると、2023年の乳がん死亡数は15,763人(女性15,629人、男性134人)でした。

但し、乳がんの死亡率は1990年代半ばをピークに減少傾向となっています。高齢化の影響で死亡数は増えていますが、定期健診による早期発見で死亡率は減っている、という状態です。

乳がんの早期発見について

がんは漢字で「癌」と書き、字体からも硬いイメージがあると思います。実際に、乳がんは腫瘍が大きくなると触って確認することができます。

1か月に一度、月経が終わった頃を目安に乳房を触ってしこりが無いか確認する自己検診が早期発見には大切です。ただ、しこりができない種類のものや分かりにくいものがあるので、乳がん検診を年に一度は受診するようにしてください。

検診ではマンモグラフィーと超音波検査の2つの方法があります。

マンモグラフィーは乳房専用のX線検査で、なるべく組織の重なりを無くして撮影をする必要があるため乳房を薄く押しつぶして撮影します。若くて授乳経験の無い女性は乳腺が硬く、痛みを伴う検査です。またそもそも日本人女性は乳腺組織が厚いため、どんなに押しつぶして撮影してもしこりが見えにくい場合があります。

超音波検査は痛みがなく、しっかりとしこりを検出する事が可能ですが、検査の仕方によっては検出精度が変わってしまうところが難しい点です。それぞれ特長がある検査ですので、できれば両方受診する事をおすすめします。

乳がんの種類について

検診でがんの疑いがあった場合、次は細胞診を行います(血性乳頭分泌物が見られた場合は除く)。超音波で場所を確認しながら、しこりの部分に針を刺して細胞や組織を採取し、病理検査を行います。この病理検査で、どのタイプの乳がんで、どの程度まで進行しているかを特定し、治療方針を固めます。

乳がんの場合は、がんの組織型に加えて分子レベルの特徴の検査を行い、大きく4種類に分けられる乳がんのどのタイプか判断します。
以下がそのタイプの詳細です。

① ルミナール(A/B)タイプ

  • ルミナールは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンに反応するがん細胞のタイプです。
    女性ホルモンに反応するということは、正常な細胞から変化している度合いが少なく、比較的おとなしいがん細胞です。但し、その中でも細胞増殖が活発なものはBタイプとされ、Aタイプよりも注意が必要となります。
    また、おとなしいという事は、がん細胞の最大の特徴である細胞分裂が遅いという事です。

    抗がん剤は基本的に細胞分裂を阻害するような設計になっていますので、ルミナールタイプの乳がんは、抗がん剤が効きづらい傾向にあります。その代わりに女性ホルモンに反応するタイプなので、がん細胞が女性ホルモンを摂取する経路を断つ、ホルモン療法が可能です。

② HER2タイプ

  • HER2とは、細胞膜にある細胞の増殖を調整しているタンパク質のことで、このタンパク質に異常をきたしているがん細胞です。加えて、女性ホルモンには反応しないのが、HER2タイプの乳がんの特徴です。
    HER2に対する分子標的薬が登場して治療効果が良くなりましたが、女性ホルモンに反応しないということは、正常な細胞から変化している度合いが大きいため、気性が荒いがん細胞です。

③ ルミナールーHER2タイプ

  • 罹患数は少ないですが、女性ホルモンにも、HER2にも反応するがんがあります。
    分類として個別に分けられる事もありますし、ルミナールBタイプの中に入れられる事もあります。
    ルミナールAタイプに比べて活発ながんですが、HER2に対する分子標的薬も、ホルモン療法もどちらも可能ですので、治療の選択幅は広いタイプのがんです。

④ トリプルネガティブタイプ

  • ルミナールにもHER2にも反応せず、しかもルミナールBタイプのように細胞増殖が活発ながんを、トリプルネガティブタイプといいます。
    悪性度が高く、最も予後が悪いがんですので、早期治療が必要です。但し、抗がん剤は比較的効きやすい傾向にありますので、過度に恐れずしっかりと治療に取り組むことが重要です。

乳がんの治療法について

組織診でがん細胞のタイプを確認し、その後MRIやCTでの画像診でがんの広がりや数を確認、最後に脇のリンパ節への転移をセンチネルリンパ節生検で確認して治療方針が固まります。

乳がんを含めて、標準治療の治療方針はステージ(病気の進行度)によって、何をどの順番でやるか治療内容が決められています。多くの治験を元に決められたもので、標準治療である限りは病院間での治療の差はなく公平な医療を受けることができます。尚、前述の5年相対生存率は、この標準治療を受けることでの生存率の数値となります。

ステージ別の治療の流れは下記となります。

ステージⅠ、Ⅱ

  • →腫瘍が3cmより大きい場合は、乳房の全摘出を行い、乳がんのタイプに応じて術後の薬物療法を行います。
    →腫瘍が3cm以下で、乳房温存を希望した場合は、乳房温存手術と放射線治療を行い、術後の薬物療法を行います。(大きさが適応外の場合は、術前薬物療法を行い、腫瘍を退縮させた後に行います。)

ステージⅢ

  • →術前薬物療法を行い、外科手術と放射線治療を行い、術後の薬物療法を行います。

ステージⅣ

  • →外科手術を行う事ができないため、薬物療法を行います。(必要に応じて外科手術や放射線治療を追加する場合もあります。)

使用する抗がん剤は、乳がんのタイプやステージ、転移箇所によって様々です。効果の有無や標準治療の枠組みがあるため、患者側が自由に指定できる訳ではなく、治験の結果によって決まった抗がん剤の中から医師の判断で案内されます。抗がん剤は化学物質ですので、強弱はありますが副作用が必ずあります。ただ過度に恐れる必要はありません。

不安に感じたら担当のお医者様に詳しく聞いてみてください。しっかりと丁寧にご説明してくださいます。

乳がんの特徴について

乳がんは乳管からリンパ管・血管へと浸潤しやすく、早期に微小転移(転移しているが、少量のがん細胞のため臨床的に診断できない状態)を起こしやすいがんです。つまり、今診断されていない部分へもがん細胞が転移している可能性が高い、と考えた方が良いです。

がん細胞のタイプとお体の状態によって、術後2〜3年、もしくは5年前後に再発することが多いですが、場合によっては10年後や20年後に再発することもあります。

再発した場合、30%が局所再発(もともとがんができていた部位に近い、手術後の乳房や患側のリンパ節)、70%が遠隔転移です。遠隔転移の場合は、肺・骨・皮膚や胸壁・肝臓・脳などに転移する場合が多いです。局所再発の場合は根治を目的とした治療を行いますが、遠隔転移の場合は生存期間の延長と、QOLの改善に主眼をおいた治療が行われます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。乳がんは若い年代でも発生するがんです。万一罹患しても、正しい知識を持って治療にあたれば、過度に恐れることはありません。ただし、抗がん剤の副作用や、乳房切除など、思い悩む点が多いがんであるのは事実です。

ちなみに乳房切除については、患者様の負担が少なくなるよう、年々技法が変わってきています。1980年代は胸筋を含めて乳房を全切除する方法が主流でしたが、1990年に入り胸筋をとらない乳房全切除が主流に変わり、現在では半数くらいは乳房温存手術が行われています。日本の医療のレベルは高く、年々治療内容が進化しています。

ただ、どうしても乳房切除をしたくない・抗がん剤を受けたくないという相談は多く伺います。その際は標準治療の内容と、自由診療で得られるメリット・デメリットをご理解頂き、ご自身にとって最適な選択ができるようにサポートさせて頂いております。

前述したとおり、乳がんは転移しやすいタイプのがんです。一人で悩むのではなく、主治医の先生や当社のような相談窓口に、なるべく早く相談するようにしてください。

参考文献:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)、がんがみえる第1版 株式会社メディックメディア、おしゃべりながんの図鑑 株式会社CCCメディアハウス

まとめ

乳がんについて

乳がんは、高齢化の影響で死亡数が増え、早期発見で死亡率は減っている状況

早期発見のため、自己触診と病院での検診を行うことが重要

治療方法や使用する抗がん剤は、乳がんのタイプやステージ、転移箇所によって様々

乳がんは転移しやすいがんのため、診断されていない部分への転移に気をつける必要がある

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