気になるギモン
2024.12.24
がんに関わる重要な免疫細胞とは?-最新の研究結果と最新の治療法-
がんの研究は日々進められており、新しい薬や治療法が編み出されています。
そんな中「マクロファージ」という免疫細胞が、がんに大きく関わることが分かってきました。
免疫細胞全体の大まかな役割と仕組みについては以前の記事にてご説明しましたが、今回はその中の「マクロファージ」に注目し、がんについて紐解きます。
またマクロファージを用いた最新のがん治療法についてもご紹介します。
がん細胞は免疫細胞を悪用して成長する!?
がん細胞は人間の体の中で毎日5,000個程生まれてきていますが、体が持つ免疫の仕組みで異物と判断され、免疫細胞の攻撃に曝されることで、健康な状態ではがんと診断される大きさになる前に消失します。
ただ、何らかの状態で免疫力が落ちて、がん細胞の成長が上回る場合があり、この状態が続くとがんと診断される大きさまで成長してしまいます。
がん細胞を取り巻く環境を「微小環境」と言いますが、最近の研究ではこの微小環境ががんの成長に大きく影響している事がわかってきました。
異物であるがん細胞のまわり(微小環境)では、たくさんのマクロファージという免疫細胞が戦っています。マクロファージは体内で異物を見つけると真っ先に攻撃を行い、食べるように異物を攻撃します。ですが、あるきっかけでがん細胞がマクロファージを味方につけて、自分が生育しやすい微小環境を作り上げている事が分かってきました。
マクロファージのタイプを変化させるがん細胞
免疫の中で重要な役割を持つマクロファージは ”異物を攻撃する” 役割に注目されがちですが、もともとは人間の体内を正常な状態に保つため、自分の細胞の死骸を処理する役割も持っています。
また、自分の細胞の死骸があるということは、傷ついているということなので直さなければいけない!と判断し、マクロファージがその部分を修復しようとします。
この “修復する” 能力をがん細胞は悪用してしまいます。
・マクロファージは、異物(がん細胞や自己の細胞の死骸)を攻撃する【攻撃型】
・マクロファージは、体内の傷ついた部分を修復する能力を持つ【修復型】
・マクロファージは、状況に応じて上記のどちらかに変化する
攻撃するためにがん細胞の群れの中に入ってきたマクロファージに、がん細胞は物質を浴びせて ”修復する能力をメイン” のマクロファージに変化させます。
修復する能力がメインになってしまったマクロファージは、がん細胞への攻撃を止めるだけでなく、やっかいな事にがん細胞の成長を助ける行動をとってしまいます。
<がん細胞に悪用されたマクロファージの動き>
・がん細胞が増えるのを助ける
・がん細胞の群れに向けて血管を作って、がん細胞に栄養を与える
・攻撃型の免疫細胞の活動を弱める
・がん細胞が血管内に入りやすくしたり組織の再構築を行う事で、転移や浸潤を助ける
マクロファージの研究とその結果を用いた最新の治療法
これら、がん細胞がマクロファージを悪用している事は、1990年代に修復型のマクロファージを分析できる方法が確立されたことによって研究が進み、解明されました。実際に、悪性度の高いがんでは、悪性度の低いがんに比べて、周りの微小環境の中に修復型のマクロファージの密度が高い(たくさんいる)事が確認されました。
このことが分かってから、がんの免疫療法における、マクロファージの役割が注目されています。がんの微小環境が低酸素状態や高乳酸化などの影響を受けて、修復型になりやすいことも分かっており、「修復型のマクロファージが多いがんの微小環境を改善し、再び免疫細胞が攻撃できる状態を取り戻す」研究が進められています。特に免疫療法や化学療法に耐性を獲得したがんに対する治療法として期待され、研究だけでなく、実際の治療として提供している医療機関も存在し、治療を受けられているがん患者様もいらっしゃいます。
まとめ
如何でしたでしょうか?免疫細胞の中でも、マクロファージは生物の進化のかなり早い段階から生き物の体に出現していた事がわかっています。病原体をはじめとする外来の異物がそれほど必要としない時期に、生き物の組織の発生・再生など「生きるため」に必要な細胞として出現して、その後、生物が複雑に進化をする過程で、病原体を排除する能力を身につけていったのではないかと考えられています。もともとの「生きるため」に必要なマクロファージの能力を使ってがんが成長してしまうとは何とも驚きですが、日々このような研究が進んでおり、がん治療への応用が期待されています。
重要なのは、体内の免疫の仕組みは非常に複雑で、まだまだ全てが解明されている訳ではない事です。免疫治療を検討する際は、インターネットに流れている断片的な情報で判断したり、ニュースなどのトピックで挙げられる治療法に固執するのではなく、がんの部位や状態に合わせて専門家のもとで治療に当たる事が大切です。
出典:新しい免疫入門 第2版 ブルーバックス(講談社)、別冊医学の歩み マクロファージの功罪 第1版 医師薬出棺株式会社、腫瘍微小環境におけるマクロファージの役割 熊本大学大学院論文
まとめ
免疫療法の
歴史と効果について
がん細胞はマクロファージの仕組みを悪用する
がん細胞に悪用されたマクロファージはがんを成長させてしまう
がん細胞に悪用されたマクロファージを元に戻す最新の治療法が存在する
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