気になるギモン
2024.11.27
体に備わる免疫の仕組みとは?複雑な機構を種類別に解説
免疫という言葉はよく聞くかもしれませんが、一体どういう仕組みなのか具体的にイメージするのは難しいのではないでしょうか?
それもそのはずで、一口に免疫といってもたくさんの種類の免疫細胞があり、たくさんの種類の物質が飛び交う、とても複雑な仕組みによって人間の体は守られています。
今回はそんな複雑な免疫の仕組みを、種類毎になるべく分かりやすく解説します。
そもそも、免疫が見つけて排除する”異物”とは?
人間の体を守るのが免疫ですので、排除する異物は人間の体を害するものです。イメージしやすいのは、外から入ってきて病気を引き起こすウイルスや細菌です。
ただ、それら外から入ってくるものだけを排除しているわけではなく、自分の細胞が変化したがん細胞や、自分の細胞の死骸、老廃物も処理しなければ健康な体は維持できません。これらも異物と認識し、免疫細胞が排除します。
①まず最初に戦って警報を出すのが マクロファージ
マクロファージは異物を見つけると手あたり次第に食べて消化してしまいます。この働きを自然免疫といって、多くの生物が持つ基本的な免疫の仕組みです。
マクロファージが食べたものが外から入ってきたものだった場合、周囲のマクロファージの活性を高めたり、血管壁をゆるめて応援部隊が到着しやすくしながら、警報を出して応援部隊を呼び寄せます。
外から入ってきたものだった場合は臨戦態勢を作り上げますが、自分の細胞の死骸や老廃物を食べた時は、原則としてこの動きはとりません。異物の種類をマクロファージがしっかりと判断してくれているおかげで、体を守る初動対応がきちんと働くのです。
②警報を聞いて真っ先に戦うのが 好中球
好中球は有事に備えて血管の中を巡回しています。マクロファージが出した警報を受けて、真っ先に患部に到着し、異物と戦います。好中球は数が多く殺菌作用が強いので、攻撃力はマクロファージよりも強力ですが、寿命は2-3日(マクロファージは数か月)と短いです。尚、病原体を倒した好中球の死骸が”膿”です。
③それでも倒せないとき働くのが 樹状細胞
簡単な異物の場合、マクロファージと好中球で戦いは終わり、体の中は平和な状態を取り戻しますが、この自然免疫だけで退治できない場合は、樹状細胞が活躍します。
樹状細胞の働きはマクロファージと同じくまずは異物を食べて消化しますが、自然免疫だけでは退治できない長期の戦いの時に活躍します。樹状細胞は、食べた異物を細かく分解して部品(抗原といいます)にします。この部品を周りの免疫細胞に伝えることで、異物の特徴を広く認識させて、特徴を持った異物に一斉攻撃を仕掛ける算段です。
異物を細かく部品にした樹状細胞は、周りへ情報を渡しやすいように、まるで木の枝のように形をかえ、枝の先に部品を置いた形に変わります(これが樹状細胞の名前の由来です)。樹状細胞はこのように形を変えながら、情報を伝えるべく多くの免疫細胞が集まるリンパ節へ移動します。
ちなみに自己細胞の死骸を食べた際も少し木の枝を伸ばしますが、危険な異物の場合はより多くの免疫細胞に伝えたいので更に長く枝を伸ばします。この状態になると樹状細胞は数日しか生きられません。もう異物を食べるのもやめて、一刻を争うようにリンパ節へ移動していきます。
④樹状細胞とナイーブT細胞がリンパ節で出会う
リンパ節には攻撃部隊のT細胞がこどもの状態(ナイーブT細胞)で存在しています。樹状細胞はこのナイーブT細胞に異物の特徴を伝えたいのですが、なんとこのナイーブT細胞には1,000億以上の種類があり、特徴を認識してくれるのはそのうち100個、出会える確率は100万分の1なのです。
樹状細胞はあと数日しか寿命がありません。とにかく手あたり次第にナイーブT細胞にくっつき、特徴を伝えようと頑張ってついに特徴を認識してくれるナイーブT細胞に出会えました。
もっと簡単に伝えられるようにすれば良いのではと思うかもしれませんが、免疫細胞の攻撃はとにかく強力です。万一誤報で動いてしまうと、自分自身の体を攻撃対象として滅ぼしてしまいかねません。樹状細胞の寿命が短くなるのも、出会いのチャンスが100万分の1なのも、この誤報を防ぐための仕組みなのです。
⑤樹状細胞からバトンをもらったT細胞が患部へ急ぐ
異物の特徴を認識できるこどものT細胞と出会うと、樹状細胞はT細胞に活性化させる物質を浴びせ成熟させます。そうすると活性化したT細胞が増殖して100個が100万個に増え、活性化したT細胞群になります。
活性化したT細胞群は、リンパ節からリンパ管、血管へと移動して、マクロファージが警報を出している患部へ集まります。
患部で戦っているマクロファージは異物の特徴を既に持っており、同じ異物の特徴をもったT細胞と出会うと、T細胞がマクロファージを活性化させる物質を浴びせ、攻撃力がさらに上がり、結果相当な勢いでマクロファージが異物を食べまくります。(そして警報を出して、好中球が来て、とこれまでの流れがループされ、異物を排除していきます。)
最後に
大きな流れとしては以上ですが、異物を食べるのではなく抗体を使って攻撃するB細胞がいたり、特徴を隠すなど正常な細胞の中に潜んでいる異物(ウイルスなど)と戦うため、樹状細胞がキラーT細胞に特徴を伝えて戦ってもらったり、完全に異物と認識できなくても攻撃するナチュラルキラー細胞がいたり、寄生虫に対する攻撃力が高い好酸球がいたりと、様々な種類の免疫細胞が日々活躍しています。体を守るとても複雑な仕組みのことを一言で ”免疫” と言っているのです。
ちなみに、がんが大きくなるということはこういった免疫機能が上手く働かず、がんに負けている状態ということです。
ABF先進治療では、これら免疫を用いたがんの自由診療のご紹介を主に行っています。
免疫・がんの仕組みに精通していますので、もし免疫治療について分からないことがあればお気軽にご相談ください。
参考文献:新しい免疫入門 第2版 ブルーバックス(講談社)、別冊医学の歩み マクロファージの功罪 第1版 医師薬出棺株式会社、腫瘍微小環境におけるマクロファージの役割 熊本大学大学院論文
まとめ
免疫療法の
歴史と効果について
免疫は外部からの異物以外にも、がん細胞や自身の細胞の死骸、老廃物も処理している
免疫細胞が暴走して自身を攻撃しないように、複雑な手続きで異物を排除している
それぞれの免疫が影響し合って攻撃力が高まる
がんはこの免疫機能が上手く働いていない状態
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