一覧表で比較!がんの標準治療と5年生存率について

がんと診断された場合、大半の方は保険証が使える標準治療を最初に検討されるかと思います。海外から医療ツーリズムが組まれるなど、日本のがん治療の質は高く、名前こそ「標準」治療となっていますが、その標準がとても高いレベルの治療なのです。

今回は、標準治療でのがん治療の全体像をご案内したいと思います。全体像を知る事で、不安な状態を払拭し、納得して治療に取り組める一助になれば幸いです。

がん治療の三大療法

がんの治療は、①手術療法、②放射線療法、③薬物療法の3つが基本になります。
手術と放射線は局所療法、薬物療法は全身療法ですので、がんの状態に合わせて、複数の方法を組み合わせた治療が行われます。

手術、放射線 = 局所療法 = 手術した部位、照射した部位にだけ効果がある

薬物療法 = 全身療法 = 投与すると全身に作用する

また、がん治療をサポートする形で、緩和ケア、支持療法があり、苦痛や副作用への対応を行うこともあります。

緩和ケア = 身体的、肉体的苦痛を和らげる対応

支持療法 = 薬物療法に伴う副作用を和らげる対応

がん治療の三大がんの状態に合わせて、がん治療の目的や方法が変わる

残念ながら、現在の医療では全てのがんを治す(根治する)事はできません。
ですので、がん治療に際しては、その患者のがんの進行度(早期→終末期)に合わせて、根治だけでなく、延命や緩和と目的を定めて治療が行われます。

 根治:がんを完全に消失させる治療

 延命:がんの増殖を一時的に抑制する

 緩和:身体的・精神的な苦痛を取り除く

では、がんに対して有効な治療法がどれなのかを自分で選ばないといけない?と不安になるかもしれませんが、そんなことはありませんのでご安心ください。

標準治療は、統計データとして豊富な治療実績があるので、がんの部位やステージによってどの治療が有効かが決まっています。
主治医の先生は、その中でも患者様に合った方法を治療方針として示してくださいます。

がんが治ったかどうかはどうすれば分かる?

手術などで病巣を切除できても転移している可能性があります。
これでがんが治った…という訳にはなりません。
転移したがんは初めのうちは少数のがん細胞で病巣を形成しているため、臨床的に診断できない(見つからない)ことが大半です。
よって、治療した後に一定期間経って再発がないことが確認できたとき、はじめてがんが治ったことがわかります。

再発の様子を見る期間はがん種によって様々ですが、一つの目安が5年となります。
多くのがんが検出可能な大きさに成長できる期間が5年以内(すい臓は2年、乳がんは10年など例外はあります)ですので、標準治療では5年相対生存率(※)という数値が統計データとして開示されています。

ステージⅠステージⅡステージⅢステージⅣ
前立腺がん100%100%100%63%
大腸がん95%88%77%19%
肺がん(肺腺がん・肺大細胞がん)92%61%34%11%
肺がん(小細胞肺がん)61%34%23%2%
肺がん(肺扁平上皮がん)71%53%23%3%
胃がん96%70%42%6%
肝臓がん64%46%16%4%
すい臓がん52%23%7%1%
食道がん79%51%27%9%
腎臓・尿管がん97%88%77%18%
膀胱がん86%57%43%19%
乳がん100%96%81%39%
子宮体がん96%89%68%22%
子宮頸がん・子宮体がん96%80%65%26%
卵巣がん91%74%45%27%
甲状腺がん100%98%99%74%

(※5年相対生存率とは)がんと診断された場合、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標。がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いのか、という数値。100%に近いほど標準治療で生命を救えるがんで、0%に近いほど標準治療で生命を救い難いがんを意味します。(数値出展:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」2013-14年診断例、全国がんセンター協議会の生存率共同調査 2011~2013年診断症例)

まとめ

がんの標準治療と
5年生存率について

がん治療の三大療法は①手術療法、②放射線療法、③薬物療法の3つ

自身のがんの状態に合わせて治療方法が変わる

がんが治ったと言える目安は5年

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