すい臓がんの症状とは?すい臓がんについて詳しく解説

膵臓がん(膵がん)は、初期症状が体感しづらく、また早期発見しづらい位置にあるなど、他のがんと比べて困った特徴を持ち、診断や治療において多くの課題が存在しているがんです。
今回のコラムでは、そんな膵臓がんの症状や特徴、患者数・死亡率の傾向、代表的な組織型、治療法と副作用、標準治療の治療費の目安など、詳しくご説明したいと思います。

すい臓がんの症状や特徴について

膵臓は胃や上行結腸の後ろ側、複数の臓器に囲まれている位置にあり、初期症状が乏しいため、早期発見が困難な部位のがんです。
がんが治るかどうかは早期に発見できるかが重要ですが、末期がんであるステージⅣで見つかる患者様が約半数と、​診断時にはすでに進行していることが多く、他のがんと比較しても予後が悪いとされています。

また、膵臓がんの大半を占めるのは膵管にできる膵管がんですが、膵管がんはスキルス胃がんと同じく、細胞の周りに間質という硬い壁を作りながら周りの臓器に食い込んで広がっていくため、​手術が可能な症例が限られます。
抗がん剤も間質が多いためがん細胞に届きづらく、治療効果が出にくいというやっかいながんです。​

余談ですが、一部が膵臓にくっつくように走行している胆管(肝臓で作られて、脂肪の消化と吸収を助ける胆汁がとおる管)にもがんができる事があり胆管がんと呼ばれますが、このがんの形や構造が膵管がんと似ている事が多く、こちらも膵臓がん同様に予後が良くないがんです。
医療現場では、膵臓・胆道系のがんとして、一緒に考えられることも多いです。

患者数の推移について

膵臓がんの罹患数は年々増加傾向にあります。​
国立がん研究センターのデータによると、​2005年には約2万人だった罹患数が、​2018年には約4万人と10数年で2倍の人数に増えています。
この増加は、高齢化や生活習慣の変化が影響していると考えられていますが、断定できる研究結果は未だありません。

死亡率の傾向について

罹患数だけではなく、膵臓がんの死亡率も増加傾向にあります。
医療技術の進歩で​他の多くのがん種で死亡率が減少している中、​残念ながら膵臓がんは例外的に増加しています。
​これは、早期発見の難しさが一因ですが、一方でステージⅠ、つまり早期に発見できて、転移せず膵臓内に留まっている状態でも、3年生存率は54.8%と他のがんに比べて非常に低い(悪い)データもあります(同様のケースですと、多くのがんでは90%を超えています。)。

<すい臓がんと代表的ながんのステージと3年相対生存率の比較>

これは発見が遅れやすい事に加え、間質という壁を厚く作るタイプのがんである事も要因かと思われます。
間質の中(微小環境といいます)には、修復型にされてしまっているマクロファージを始め、がん細胞に利用され、がんを守ってしまっている細胞が多く存在しています。
この微小環境に着目した治療法も研究されており、今後有効な治療法が確立され、治療機会が広くなることが今後望まれています。

膵臓がんの病状

他のがんと同様で、初期の段階では無症状です。
代表的な膵管がんですと、病状が進むと膵管が閉塞することでの症状が出てきます。
例えば、膵臓の頭部でがんが発生した場合は、胆汁の通路が妨げられますので黄疸が出ます。
ほかには​腹痛、背中や腰の痛み、体重減少、食欲不振や下痢などが見られますが、​これらの症状は膵臓がんに特有の症状ではなく、他の疾患とも共通しているため、発見が遅れる要因となっています。

膵臓がんのステージ分類について

膵臓がんは、腫瘍の進展度、リンパ節の転移数、遠隔転移の有無でステージが分けられ、それぞれに沿った治療が施されます。

ステージ0

  • 浸潤しておらず、リンパ節へ転移していない

ステージⅠA

  • 膵臓の中に20mm未満の腫瘍があり、リンパ節へ転移していない

ステージⅠB

  • 膵臓の中に20mmを超える腫瘍があり、リンパ節へ転移していない

ステージⅡA

  • 膵臓を超えた腫瘍があるが、リンパ節へ転移しておらず、腹腔動脈・上腸間膜動脈にも浸潤していない

ステージⅡB

  • 膵臓を超えた腫瘍があり、リンパ節へ4個以上転移している

ステージⅢ

  • 腹腔動脈・上腸間膜動脈に浸潤している

ステージⅣ

  • 遠隔の臓器に転移している

また、膵臓がんは、①血液検査 ②画像と病理検査での確定診断 ③必要に応じ病期診断を行う、という流れでステージが確定され、その内容に沿った治療方針が案内されます。

治療法と副作用

▶︎手術療法

手術が可能な場合、がんが発生した場所によって切除が行われます。

  • 膵頭部】=膵頭十二指腸切除術:膵頭部と、胃から十二指腸まで切除を行います。(この場合は消化管を切除してしまいますので、消化管再建術も必要になります。)
  • 膵体尾部】=膵体尾部切除術:膵体尾部と脾臓を切除します。
  • 【膵臓全体】=膵全摘術:膵臓と、胃から十二指腸まで、胆のうと胆管、脾臓を切除します。(この場合も、消化管再建術が必要になります。)

術後に起こりえる合併症として、膵液瘻(膵液が腹腔内に漏れる)、腹腔内膿瘍、腹腔内出血、胆管炎、胆汁瘻、胃内容排泄遅延、食物通過障害、消化不良、下痢などがあります。また、膵臓全体を摘出した場合は、糖尿病を併発します。
日本の医療は高い技術ですので、上記の合併症は発生しうるリスク(全摘出の場合の糖尿病を除く)ですので必ず起こる訳ではなく、過度に恐れる必要はありません。ご心配なようでしたら主治医に確認されると、丁寧にご説明くださいます。

▶︎化学療法

がんを手術で切除できるかできないかで、使われる抗がん剤は変わります。代表的なものを紹介します。

  • 手術できる】=根治を目的として術後の補助​として使われる
    → S-1単剤療法、GEM(ゲムシタビン)単剤療法。代謝拮抗薬なので副作用は、悪心、嘔吐、食欲低下、味覚障害、倦怠感、口内炎、下痢、血球減少、皮疹、脱毛など
  • ギリギリ手術ができる】=根治を目的として術前の補助​として使われる
    →GEM+S-1療法(ゲムシタビンとテガフールなどの2種の抗がん剤)。代謝拮抗薬なので副作用は、悪心、嘔吐、食欲低下、味覚障害、倦怠感、口内炎、下痢、血球減少、皮疹、脱毛など
  • 手術ができない】=生存期間の延長を目的に使われる
    →FOLFIRINOX療法(フルオラシルなど4種の抗がん剤)。代謝拮抗薬含め4タイプの抗がん剤を使用します。手術できない場合に代表的に使われるレジメンで、副作用は、悪心、嘔吐、食欲低下、味覚障害、倦怠感、口内炎、下痢、血球減少、皮疹、脱毛など
    →GEM+nab-PTX療法(ゲムシタビンとアブラキサンの2種の抗がん剤)。代謝拮抗薬と微小管阻害剤を使い、副作用は皮疹、間質性肺炎、筋肉痛、関節痛、脱毛、末梢神経障害など
    →GEM+エルロチニブ療法(ゲムシタビンとエルロチニブの2種の抗がん剤)。代謝拮抗薬と分子標的薬を使い、副作用は皮疹、間質性肺炎、下痢、爪囲炎など
    →単剤療法(ゲムシタビン、あるいはテガフールなどのうち1種の抗がん剤)。代謝拮抗薬なので副作用は、悪心、嘔吐、食欲低下、味覚障害、倦怠感、口内炎、下痢、血球減少、皮疹、脱毛など

あくまで代表的なレジメンですので、主治医の先生が患者様に最適な抗がん剤を選んで、ご説明くださいます。

標準治療での治療費の目安

膵臓がんの治療費は、治療法や入院期間、保険の適用状況によって異なりますが、​一般的には、手術や化学療法を含めた初期治療で数百万円程度かかることが多いです。​
高額療養費制度や医療費助成制度の利用が可能な場合もありますので、詳細はかかりつけの医療機関の相談窓口で確認することをお勧めします。

最後に

いかがでしたでしょうか。膵臓がんは悪性度が高いというイメージを持つ方が多いと思いますが、膵臓がん自体や治療についての全体像を理解していただき、むやみに恐れるのではなく適切な治療を受けていただきたいという思いで記載しました。

コラムの中で出てきました間質(微小環境)については、がん治療の重要なファクターで日々研究が進んでおります。別のコラムでも記載させて頂きましたが、さらに新たな研究成果などが発表されたらご報告したいと思います。

参考文献:がんが見える 第1版 株式会社メディックメディア、がん化学療法の薬 2023・2024年版 株式会社メディカ出版、おしゃべりながんの図鑑 株式会社CCCメディアハウス

まとめ

すい臓がんについて

膵臓がんは初期症状が乏しく、早期発見が困難ながん

罹患数と死亡率は年々増加傾向にある

手術で切除できるかできないかで使用する抗がん剤が変わる

間質(微小環境)が深く関係しており、日々研究が進められている

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